わたしは一生に一度の恋をしました
由紀も真一もとてもいい人たちだ。だからこそ、やるせない気持ちが胸の中に湧き上がる。二人が生まれてこなければよかったなど思えなかったのだ。わたしのお母さんとお父さんが結婚していたら、二人は生まれてこなかったのだ。
「わたしが子供のころ、お母さん泣いていたの。そのとき見ていたのが、真一と由紀さんの写っていた家族写真だったんだ」
三島さんは顔を歪ませた。
過去の記憶の断片だ。あのときは分からなかったが、今ならその理由がよくわかった。
「お父さんに蔑んだ目で見られたときは流石に堪えた。憎んでいるという気持ちがすごく伝わってきたけど。お父さんに父親について聞かれたけど、どうしてなんだろう」
「おじさんは知らないのだと思うよ。君が自分の子供だってことを。もしかすると君のお母さんが二股を掛けていたと思っているのかもしれない。勝手な人だよな」
わたしは三島さんの言葉に首を横に振った。
きっと彼はそれを知るすべがなかったのだ。
子供が生まれたことだけは誰かから耳にしたのだろう。
それでもお母さんが好きな花をああして生けてくれていた。
「仕方ないよ。わたしの親はお母さんだけだったし、一目会えただけでも良かった」
「そうだな」
三島さんは優しくわたしの頭を撫でた。
なぜか彼はわたしの頭をよく撫でる。子供扱いをしているのだろうが、妙にそれが心地よかった。
「わたしが子供のころ、お母さん泣いていたの。そのとき見ていたのが、真一と由紀さんの写っていた家族写真だったんだ」
三島さんは顔を歪ませた。
過去の記憶の断片だ。あのときは分からなかったが、今ならその理由がよくわかった。
「お父さんに蔑んだ目で見られたときは流石に堪えた。憎んでいるという気持ちがすごく伝わってきたけど。お父さんに父親について聞かれたけど、どうしてなんだろう」
「おじさんは知らないのだと思うよ。君が自分の子供だってことを。もしかすると君のお母さんが二股を掛けていたと思っているのかもしれない。勝手な人だよな」
わたしは三島さんの言葉に首を横に振った。
きっと彼はそれを知るすべがなかったのだ。
子供が生まれたことだけは誰かから耳にしたのだろう。
それでもお母さんが好きな花をああして生けてくれていた。
「仕方ないよ。わたしの親はお母さんだけだったし、一目会えただけでも良かった」
「そうだな」
三島さんは優しくわたしの頭を撫でた。
なぜか彼はわたしの頭をよく撫でる。子供扱いをしているのだろうが、妙にそれが心地よかった。