物語はどこまでも!
「オタスケー」
「タスケー」
「テツダウー」
ふわっとした白い綿毛に包み込まれた。
一匹や二匹ではない。十や二十という数でもない。白い絨毯とも言えようその数は数え知らず、それらが私を乗せふよふよ浮き始めた。
「げ、ゲノゲさん!?」
まさか、ゲノゲさんに乗って空を飛ぶ日が来ようとは。万人が夢見る空中浮遊だろう、これは。
感激に浸る前に、ぶわっと風が舞う。
可視化した風の聖霊が翼になり、一気に舞い上がる。
「ドコー?」
「え、えぇ、あ、あっち!」
指差せば、そちらまで運んでくれる。
「ど、どうしてゲノゲさんたちが」
ゲノゲさんは聖霊の赤ん坊だ。怖いものがあれば、怯えて逃げ出すほどのはずなのに。
ふとした呟きに応えてくれたのは二匹のゲノゲさんだった。
「タスケテクレター」
「タスケラレルー」
そうして、またぴょこぴょこと順番に。
「チョコー」
「コンペートー」
「ナデナデー」
取り留めない単語たちだけど、私には朝の木漏れ日とともにやってくるゲノゲさんたちの姿が頭に思い浮かんだ。
「ゲノゲさんの恩返し……いえっ、いつも癒やしを貰っているのはむしろ私の方なのですがーーうわっ!」
加速した空中浮遊であっという間に、私の部屋までついた。窓の前で立ち止まる。鍵はしまっているため強引に入るしかないかと思えば。
「ソソギ殿!こちらへ!」
既に中にいたマサムネが窓の鍵を空けていてくれた。
「某も風の聖霊にお願いを申して、ここに来た次第!さあ!」
ゲノゲさんたちやマサムネにお礼を言い、部屋の中に入る。
当たりか外れか、そもそも私がしたいことの当たりがあるかも分からないけど、ずっと前から思っていたことがある。