こんな私にも王子様はきますっ!
「女の子の頭殴んのはダメでしょ」
いきなり知らない声が聞こえてきた。
「雪(せつ)ー!!」
本高くんが、その男の子を見て叫んだ。
「なんで、雪がいるんだよ!部活はどした?」
「そんなの、サボったに決まってんじゃん。お笑い芸人が公演に来るんでしょ?そんなに面白いことないじゃん」
今にも笑いだしそうだけど、決してバカにしてないような優しさが溢れ出ているような彼から目を話すことができなかった。
「そんなに、見ることなくね?」
本高くんが不満げに言う。
「あ、ごめん。こんなデブに見られてもいい気しないよね。」
「そういう事じゃなくて...」
「デブって思ってるとホントにデブになっちゃうよ?」
本高くんがフォローしようとすると、雪くんが嫌味に聞こえない様なトーンで、私の発言を消した。
「しかも、ボクは可愛いと思う。」
さらっと、言われた。
人生で初めて、家族以外の人にかわいいって、言われた。
顔が赤くなっていくのがわかる。
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