君と、ゆびきり
「千里と机を並べて勉強してみたかったな」


風は明るい口調でそう言った。


決して自分の人生を呪っているようには見えない、純粋で真っ直ぐな瞳であたしを見た。


「あたしもそう思うよ」


風と一緒に登校して、一緒に勉強して、一緒に部活をして。


そんな日々がいつか来るんじゃないかって、少しだけ期待していた。


だけどあたしはもう知っている。


そんな日が二度とこないことを。


「ねぇ千里、1つお願いがあるんだ」


ふと思い出したように風がそう言った。


「お願い?」


あたしは怪訝な表情を浮かべて風を見る。


風からの突然のお願いにはいい思い出はなかった。
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