君と、ゆびきり
☆☆☆

風は上半身を起こし、ベッドに座っていた。


あたしは風の前に立ち、即席で作った卒業証書を手に持っていた。


お世辞にも上手だとは言えない文字で、風の名前を書いている。


「卒業証書」


あたしは自分で書いた文章をゆっくりと読み上げていく。


「上岡風殿


あなたはこの3年間よく頑張り、千里へ笑顔を与え、そして沢山の人たちに勇気を送ってきました。


よって、あなたは妹尾高校の全課程を修了したことを証する。


校長妹尾千里」


あたしは卒業証書を両手で風に渡した。


風は重たい両手を上げて、それを受け取る。


「今度は……俺の番」


風がそう言って立ち上がろうとするので、あたしは慌てて止めた。


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