拾われた猫。Ⅱ
不思議に思って振り向いた。
その時、私はどんな顔をしていただろう。
いつも子供のように悪戯を仕掛ける彼とは違う。
優しくて、大人の表情に少なくとも動揺していた。
忘れていたけど、総司は私よりも年上の人だった。
……こんな顔も出来るんだな…。
羞恥も忘れて、不覚にも魅入っていたのだ。
「…僕が優しいのは雨ちゃんだからだよ。
誰にでも優しいわけじゃないよ、僕は」
彼が一歩踏みだしたら、もう私の目前だった。
私と目を合わせるように少し屈んだ。
まるで誰かを否定するように強い口調だったのに、切なさが入り交じった表情は少し心臓に悪い気がした。
総司から逃げるように顔を逸らして、前を歩き出す。
「雨ちゃん?」
不思議そうに私の名前を呼んだ総司をちらりと見て、「早く行くよ」と声を掛けた。