拾われた猫。Ⅱ
「どういうこと?」
私の問いかけにそっぽを向くトシには諦めて、逃げようとする平助の手を握る。
ギクリと首をビクつかせ、ゆっくりと私の方に振り向く。
そんな彼に満面の笑みで訴える。
彼は私から瞳を逸らして、私の奥に向けた。
その奥からはまた大きな溜め息を落とす。
「…香月、教えてやるから離してやれ」
トシの顔を見てから、平助からゆっくり手を離す。
トシは平助に「行け」というように顎で合図する。
その足音が遠ざかってから、私はトシの前に座り直す。
彼は机に頬杖をつき、私を横目で見る。
「……菊さんがいなくなった。
それ自体はいい。
問題は……」
そこで言葉を止め、私から視線を逸らす。
投げやりな溜め息と一緒に体ごと私に向け、真っ直ぐ目を見た。
「あの人がお前を襲った時の残党があの人を狙ってんだ」