イジワル社長は溺愛旦那様!?

湊は夕妃の頬にキスをして、そしてじっとどこか切なげに夕妃を見つめた後、今度は両腕で夕妃をぎゅっと抱きしめる。
その間、湊は無言だったが、夕妃はなにも言わずに、ただ抱きしめられるがままになっていた。



湊がようやくホッとしたように口を開いたのは、ベッドに入ってからだ。

夕妃は編み物がそろそろ仕上げにかかっていて、もくもくと編針を動かしていた。

それまでタブレットを眺めていた湊が、ベッドサイトのボードにウイスキーのグラスを置いて、そのまま夕妃の肩にコテンと頭を乗せた。


夕妃が編み物の手を停めると、

「そのまま続けて」

と、湊がささやいた。


「俺は編み物はまったくわからないけど、それを見ているのはわりと楽しいんだ」
「うん」


夕妃は気を取り直して編み棒を動かし始める。


「今日は……少し、疲れた」
「うん」



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