イジワル社長は溺愛旦那様!?

(でも、これって神尾さんが大人だからまったくそんな気配を出していないだけだよね……)


お風呂で溺れかけて、助けられた。
ほぼ裸を見られて、キスをした。


「夜が遅いので、私はいつも朝はコーヒーだけなんですよ。夕妃さんは?」


軽やかに問いかけてくる神尾に、夕妃はペンを走らせる。


【私も似たような感じです。朝陽くんの分はいつも作っていたんですけど、見てるとおなか一杯になってしまって】
「ふぅん……」


(……っ!?)


思ったより近くで声がして、夕妃は飛び上がらんばかりに驚いた。

なんと気が付けば正面にいたはずの神尾が、夕妃の背後にまわって手元を覗き込んでいるのだ。

さらに大きな手がすっと伸びてきて、興味深そうにメモの上の夕妃の文字の上をなぞっている。


(なんなの、どうしたの、どうしたらいいのっ!?)


もちろんずっと神尾のほうが背が高いので、近いといっても密着しているわけではないのだが、やはりどうしても意識してしまう。



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