イジワル社長は溺愛旦那様!?
外での朝ご飯を終えて、ゆっくりとコーヒーを飲みながら、湊と夕妃はベンチの上でぼんやりと空を眺める。
「これからどうしようとか、なんにも考える気をなくすな……」
湊がぽつりとつぶやく。
バッグからメモを取り出して、夕妃も言葉を書きつけた。
【なんにも考えなくていいんじゃないですか?】
【たまには休まないと】
「――そうだね」
湊はうなずいて、そして右手で、夕妃の左手をにぎる。
「考えて行動に移し、最良の結果を得るという一連の行為が好きなので、ついいつも忙しくしてしまうんだ。だけど今回は、あなたが喜ぶに違いないとちょっとばかり無理をして、結果、あなたに気を使わせてしまった。反省だな……」
どうやらまだ反省しているらしい。
夕妃は左手を握られたまま、ペンを動かす。
【湊さん、甘え下手ですよね】
「――えっ?」
湊が不思議そうに目を見開く。
【甘やかすのは本当に上手だけど、自分が他人に甘えるって発想がないみたい】
甘えさせてもらっている自分がいうのはなんだけれど、湊がいくらスーパーマンで王子様のような人でも、いつも他人のために奔走していては、自分のことがおろそかになるのは当然だろう。