イジワル社長は溺愛旦那様!?
だからなおのこと、たくさんの友人を作っている朝陽を羨ましくも、誇らしくも思う。
(それに朝陽くんのお友達なら、いい人に違いないし)
「そんな気をつかうなよ。でもありがとう」
「いやいや、姉ちゃんがうるさいんですよ。ヨーカンらしいです」
(うるさいって失礼な……)
夕妃は唇を尖らせながら眉を寄せる。
朝陽が入り口に立って話しているせいか、完全に前が見えない。
夕妃は朝陽の後ろからどうにかして前が見えないかと朝陽の背中のコートをつかんで背伸びをする。
だが少々背伸びをしたところで当然見えるはずがない。
すぐにあきらめた。
(挨拶はこのあとでいいか……)
「カウンターでいい?」
青年が朝陽に問いかける。
「カウンターでいいです。いいよな?」
そこで突然振り返られて、
「わああっ……!」
背中をつかんだままの夕妃は、振り回された形でよろめいてしまった。
もちろん床に転ぶ前に、とっさに朝陽の腕が夕妃をつかんで事なきを得たのだが――。
(はずかしい……)
起こしてもらいながら、夕妃はうつむいた顔をあげられなかった。