イジワル社長は溺愛旦那様!?
「だっ、大丈夫ですか……?」
「大丈夫です、すみませんお店の入り口で騒いでしまって」
夕妃が顔をあげると、心配そうに見下ろしてくる青年と目が合う。
「――あっ」
先に気が付いたのは彼のようだ。
それから夕妃も「あっ」と声をあげ、目を丸くした。
(プリンくれた男の子だ!)
そう、彼は初めて夕妃がチェーロに入ったときに、グラタンを注文できなかったお詫びでプリンをくれた青年だった。
「ん? もしかして先輩のこと知ってる?」
朝陽がふたりの顔を見比べ、不思議そうに首をかしげる。
話すとなったら手袋の件を言わなければならない。
「とりあえず席に座ろう!」
夕妃は朝陽の背中を押して、カウンター席へと向かった。
注文をとり、キッチンの奥へと消えていく青年を見送りながら、世界は狭いなぁ……と夕妃は思う。
彼の名前は橋本洋平。朝陽のひとつ上の先輩で、かつて寮長をしていたのだという。
そしてチェーロは正確には実家ではなく、洋平の叔父さん夫婦が経営していて、洋平は大学に通いながら、ここでアルバイトをしているのだとか。