イジワル社長は溺愛旦那様!?
「まさか俺があげた手袋を落としてたなんてなぁ……?」
朝陽が冷たい水が入ったグラスを傾けながら、隣に座る夕妃を見下ろす。
「う……悪かったけど、すぐ見つかったし……ここにあったし……」
「落とすなよな。ばーか」
朝陽がグラスで冷えた指で、夕妃の鼻をつまんだ。
「だからごめんって……つ、つめたっ……!」
いきなりのことにビクッと肩をすくめると、
「本当に仲がいいんだな」
と、洋平が、笑いながら二人の間に入ってフォークとナイフを並べる。
「面倒がかかる姉なので、俺がついつい口出しちゃうんですよ」
「ええーっ、それはひどいんじゃないのっ!」
たくましい朝陽の肩をバシッと叩いたが、もちろん朝陽はびくともしない。
それどころか、常日頃夕妃がどれだけとぼけているか、面白ネタとして話し始める始末だ。
(もう……私のことネタしてーっ!)
腹も立つが、朝陽がケラケラと笑っているのを見るのは、悪くない。
弟が幸せそうに笑うと、嬉しくなる。