イジワル社長は溺愛旦那様!?

「ええ、三人で――って、ああっ、三谷さんっ!」


大きな声に夕妃と朝陽の視線も声のしたほうに向けられる。


(ええっ……ええーっ!)


なんとそこには、澄川と、彼と仲のいい営業部の後輩、そして事務の女の子が立っていたのだった。


(まさかここで会うとは思わなかった……いや、職場から近いし、澄川さんとは一緒にここに来たんだから、こういう状況になることもあったとは思うんだけど……)


とりあえず同じ職場の人間だ。
夕妃は朝陽に向かって小さな声でささやく。


「会社のひと……当然、知らないから、あの、いろいろ……よろしく」
「りょーかい」


それだけで勘のいい彼に、夕妃の言いたいことは伝わったようだ。

夕妃は軽く立ち上がってペコッと頭を下げ、

「お疲れ様です」

と告げ、そのまままたカウンターに座った。


入り口に近いほうに朝陽が座っているので、こうやって座っていればもう彼らの目からは遮られるはず。
それに朝陽は、本人が意識すればその体で十分ひとを近寄らせないオーラのようなものを発生させることができるのである。


(とりあえずこれでプライベート感は出せた……よね?)


話しかけられるとあれこれとボロを出しそうなので、やむを得ないと思いつつも、夕妃はため息をついた。



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