イジワル社長は溺愛旦那様!?

「三谷さん、どうして黙ってるんだ! やっぱりあいつが彼氏!?」


だがそんな夕妃を見て、澄川は一層焦れたように迫ってくる。

ヒートアップする澄川の声に、騒がしい店内の視線が集まってくるのが分かる。


(これって完全に営業妨害だよ~……!)


「あ、あの、澄川さん、ちょっと……ここではなんなので」


夕妃は慌てながら澄川の背中を押して店の外に出た。

途端に冷たい風がピューッと吹いて、身が縮みそうになる。


(さ、さ、寒いっ……!)


店内ではニットのセーターだけでまったく問題なかったが、外は別だ。

夕妃は震えながら、澄川を見上げた。

とりあえず一緒にいるのは弟だと話し、同時に、こういうプライバシーを探られるのは困ると言おう、そう思った。


「澄川さん、あの――」
「すっ、好きなんだ!」


夕妃の言葉をさえぎって、澄川が叫ぶ。


「――え?」


(好きってなにが?)


目を丸くする夕妃に向かって、澄川は顔を真っ赤にして唇をぎゅっと引き結ぶ。

その様子を呆然と見上げていると――あまり男女のことに勘が鋭いほうではない夕妃も、ようやく彼のいいたいことが理解できた。


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