イジワル社長は溺愛旦那様!?
それを見て湊はクスリと笑う。
「わかってて、のったのは俺だよ」
「のったんですか?」
「あ、そういう意味ではのってないけど」
(なんの話!?)
のったののってないのと、なんだか意味深というかどう考えてもそっちのことのような、夕妃は顔を真っ赤にして立ち上がると、見つめあう弟と湊の間に体を割り込ませて、手をバタバタさせた。
すると湊が顎下に手を当てながら、意地悪そうに微笑む。
「あれ? なに考えてるんですか、夕妃さん」
「あれはなにか不純なことを考えてる顔ですよ、神尾さん」
「いやらしいですね」
「エッチですねえ」
湊と朝陽が楽しげに、ニヤニヤしながら夕妃を見上げる。
(ちょっ、ちょっと、やめてよっ……! っていうか、ひどいっ!)
慌てて顔を赤くしたり青くしたりする夕妃を見て、朝陽がたまらなくなったようで、笑いだす。
「やべえ、めっちゃ怒ってる……」
それを見て、湊もクスクスと笑う。
「怒ってもなかなかキュートですね」
朝陽と、湊。
夕妃の大事なひとが、自分と一緒に笑っている。
いや、笑われているともいうかもしれないが、泣いたり笑ったり忙しいけれど、夕妃は幸せだった。
いまだかつてないくらい、心は軽くなっていた。