イジワル社長は溺愛旦那様!?

その夜、夕妃はなかなか眠ることができなかった。
ドキドキして、目が冴えて、落ち着かなかった。

あのあと、湊は夕妃と朝陽に、「今さらですが」と前置きして、自己紹介をしてくれた。

神尾湊、おうし座のA型。三十三歳になったばかりで、前職は日本有数の化粧品メーカー、エール化粧品の役員秘書。現在は関連会社のエールマーケティングの社長だという。

そして神尾本家は先祖代々医者の一族らしいが、湊は分家筋であり、彼は五人兄弟の三番目らしい。

長男が父の病院を継ぎ、次男は投資家で、四男は画家、五男は弁護士だという。ちなみにご両親は数年前、長男に家業を譲った後、さっさと引退して、今は夫婦でハワイに住んでいるのだとか。


「父は医学界の派閥争いだとかそういうのをとても嫌っていて、早く引退したいが口癖の人でしたからね。完全に放任主義で、俺たちは好き勝手やっていますが……」


そして湊は、にっこりと微笑む。


「あ、そうだ。結婚することは報告したので、安心してください」


その言葉に夕妃と朝陽は唖然とした。


「い、いつ!?」


朝陽が代表して質問すると、昼間にしたという。


「ハワイと東京の時差は十九時間なので、問題ないですよ」


(いやいや時差とかそういう問題ではなくて!)


「で、なんて……?」
「『あー、そう。おめでとう』と、言ってましたよ。『近いうちに三人で遊びにおいでよ』とも言っていました。まぁ、そもそも『結婚するのに親の許可なんて必要ないだろう、義理堅い奴だな』と笑うような人たちですが」


(遊びにおいでよ……? 義理堅い……?)


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