イジワル社長は溺愛旦那様!?

そして夕妃の隣に立ち、新しいグラスに水を注いで、中身を煽る。

すっと伸びた背筋と上下に動く喉。
ただ無色透明の水を飲んでいるだけなのに、色っぽく見える。


(そっか……湊さん、姿勢がいいんだ。私もしゃんとしよう)


そんなことを思いながら、夕妃も背筋を伸ばし水を飲む。

深夜のキッチンはとても静かだ。

静かすぎてなにか音が欲しい。

できれば彼と、なにか話したいと思うが、ペンもメモも手元にはない。

無理して声を出せば出せるとは思うが、そうすると喉はつまったように苦しくなる。スムーズに会話は難しいだろう。


(仕方ない……残念だけど、もう寝よう)


夕妃はペコッと頭を下げてその場を離れようとしたのだが、

「待って」

湊に手首がつかまれていた。


「――俺の部屋にきませんか。話しておきたいこともあるし」


(へ、部屋!?)


一瞬、かなり――ドキッとしたが、話しておきたいことと言うからには、大事な話なのだろう。
それに話が終わったら自分の部屋に戻れと言われるかもしれないのだ。


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