イジワル社長は溺愛旦那様!?

(ちょ……っ……ええっ!?)


「早く、俺に、『抱いてください』って言えたらいいね。おやすみ、夕妃」


湊はクスッと笑ってチュッと音を立てて夕妃の額にキスをすると、夕妃の上から身を引いて、ベッドに仰向けになった。
しばらくすると、隣から穏やかな寝息が聞こえてくる。


(……もしかして湊さんって、すごいエスっ気があるのでは……今更だけど……)


呆然としつつ、そんなことを思う夕妃だった。





「行ってきまーす!」


翌朝、朝陽は朝食でどんぶりでご飯を三回お代わりした後、夕妃の手作り弁当をふたつ持って、元気に登校していった。


(いってらっしゃい)


玄関まで見送って手を振る。

朝陽が起きてくる前に、湊も夕妃も起きて身支度を整えてから、コーヒーを飲んでいたので、ふたりが同じ部屋から出てきたことは気づかれていないはずだ。
いや、結婚すると言ったのだから一緒にいてもいけないことはないのだが、さすがに思春期の弟にそういう目で見られるのは恥ずかしい。


「朝陽くん、さっそく寮に入る手続きをするみたいですね。書類上の手続きも弟に一任しますので」


【よろしくお願い致します】


なにからなにまで申し訳ないとつい思ってしまうが、ここはもう割り切って、お任せしようと思いながら、腕時計に目を落とす湊に頭を下げる。


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