イジワル社長は溺愛旦那様!?

「弟が下に着いたらしいです。すぐに上がってきます」


(――えっ!?)


弟というのは当然弁護士をしているという弟さんのことに決まっているのだろうが、まさかここに来ると思っていなかった夕妃は慌ててしまった。


「どうしたんです、オロオロして」


そんな夕妃を見て、湊は不思議そうに首をかしげながら近づいてくる。


(いや、その、弟さんに会うのにすっぴんっていうか、あのその……心の準備がまったくできてなくて!)


身振り手振りでそんな意思表示をする。

すると湊はあご先に手をやり、切れ長の目を細めて怪訝そうに眉を寄せた。


「うーん……お、は、よ、う、の、キスが、なかった?」


(なんでそうなるんですか!? っていうかしましたよね!?)


当然、湊は夕妃が目を覚ます前から起きていて、二日連続で寝ている顔を見られたし、起き抜けにキスもした。

夕妃が顔を赤くして地団太を踏むと、湊はアハハ、と笑って、そのまま悔しがる夕妃を抱きしめた。


「ごめんなさい。面白くて、つい」


(もーっ、面白がらないでくださいっ!)


ブーブーむくれていると、玄関のチャイムが鳴った。


「ああ、来た」


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