イジワル社長は溺愛旦那様!?
それからガチャリとドアが開く音がして、「っはよー」と、スーツ姿の背の高い青年が近づいてきた。
「閑(しずか)、おはよう」
湊が夕妃から腕を放ち、手を挙げる。
神尾家の一番下の弟、神尾閑は、湊よりもさらに背が高く、百八十五以上はありそうだった。たくましく、すらりとした体をネイビーの三つ揃いで包んだ華やかな青年だ。
母親似なのか父親似なのかわからないが、湊と顔立ちはあまり似ていない。
弁護士と聞いていたので湊よりもっと固い印象を抱いていたのだが、実際の彼は、茶色い髪はかすかにウェーブがかかっており、弁護士というよりもモデルのように華やかな美青年だった。
当然彼の胸には、ハカリを取り囲むひまわりの意匠の弁護士バッヂが輝いている。
(すごいなぁ……私とそう年が変わらない感じだけど……)
夕妃は緊張しながら、閑を見上げた。
「ところで湊ちゃん、今彼女といちゃついてなかった?」
「そうか? お前の見間違いじゃないか」
湊はにっこりと笑って、それから夕妃の肩を抱き寄せて、閑に向き合わせる。
「彼女が、三谷夕妃さんだ。そして夕妃さん、こっちが弟の閑です」
(三谷夕妃です、どうぞよろしくお願いします!)
もちろん聞こえるはずはないのだが、心の中で叫びながら、夕妃は閑に力いっぱい頭を下げる。