イジワル社長は溺愛旦那様!?

「それはよくないねぇ」


そう答えつつも、亜美の言葉は少し意外だった。

夕妃から見た桜庭は、どこかいつも落ち着かない様子の男だった。
派手で、人懐っこく、物おじしない。ある意味営業に向いているような気はしたが、普段の受け答えからは、子供っぽい雰囲気があると思っていた。

そんな桜庭が、あちこちの女性に手を出すというのは、感心しないが、社長の親戚で、スマートで、背も高く、顔もよければ周囲が放っておかないのかもしれない。


「でしょっ。かなり女癖が悪いもんだから、あちこちでもめてるんですって。で、女があたしと夕ちゃん先輩しかいない、ここにまわされたんですって」
「じゃあ私よりも亜美ちゃんが気を付けないと」


亜美はぱっと見派手だが、かなり可愛い女の子なのだ。


「あたしは桜庭みたいなもやしっこはまったくタイプじゃないっす。理想のタイプはゴリラっす」
「もやしっ子……ゴリラ……」


確かに桜庭は、背が高くほっそりとしているが、もやしっ子というほどではないと思う。だが、亜美の理想のゴリラからしたら、そう見えるのかもしれない。


「――どういうゴリラがいいの?」


桜庭よりもむしろそっちのほうが気になった。
夕妃はクスクスと笑いながら、亜美に問いかける。


「おおっ、よくぞ聞いてくださいましたーっ」


亜美はニコニコ笑いながら、引き出しからからお菓子を取り出して夕妃のデスクの上に置いて、本格的なおしゃべりモードへと突入したのだった。



< 263 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop