イジワル社長は溺愛旦那様!?
おそらく身長は百八十近くあるのだろう。
おしゃれなくせ毛風パーマをかけていて、髪もつやつやしている。顔も最近はやりの若手俳優のようなイケメンだ。スーツや靴、時計だってデザインが凝っていて、おそらくどこか一流ブランドなのだと思う。
この事務所は基本的にのんびりしたおじさんばかりなので、つい圧倒されてしまう。
「なっ……なんでしょうか」
すると彼は、少し手持ち無沙汰に体の前で腕を組むと、挑みかけるように夕妃を見下ろした。
「昨日のあれ、どういう意味」
「……昨日の」
「そういうの、いけないって言ったでしょ、あんた」
「あ……」
まさか桜庭自ら、昨日の話題を振ってこられるとは考えていなかった。
夕妃は少し驚きながら、背の高い桜庭を見上げた。
「いけないなんて言って、ごめんなさい。ただ私は、人間関係、おいしいところだけつまんで生きていくなんて、できないから、そう言いたかっただけです。あくまでも私が無理なだけで、桜庭さんが誰かとそうやって生きていくことを、否定したいわけではないです」
桜庭は自分の家族でもなく、大事な人でもない。ただの職場の同僚だ。
自分の物差しで、彼にこうやって生きるべきだと考えを押し付けるつもりはさらさらない。