イジワル社長は溺愛旦那様!?
「じゃああんたはどういうふうに生きたいわけ」
桜庭は目を細める。
「私ですか……私は、大事な人と支えあって、助けたり、助けられたりしながら、ずっと一緒に生きていけたらいいなと思います」
好きな人も恋人もいない自分がいうのもおかしな話だが、理想を語って悪いと言うこともないだろう。
そう答えると、桜庭は、笑おうとして笑えない、というような複雑な表情をして、「ははっ……」と渇いた笑い声をあげた。
「なんていうか、すごいね」
「え?」
「頭の中、お花畑じゃん。ドラマの観すぎじゃない?」
そして桜庭は自分のこめかみあたりを指さして、くるくると回した。
完全に馬鹿にされている。
「そうですか……」
そんな馬鹿にされるようなことを言った覚えはないが、仕方ない。
「本気でそんなこと考えてるの」
「はぁ……」
「男受けとかそういうのナシで?」
「はぁ……」
男受けもなにも、実際目の前にいる桜庭にはドン引きされているはずだが、夕妃はわけがわからないまま、うなずいた。
「――気持ち悪い女」
桜庭はじっと夕妃を見つめた後、そう言い放って体をひるがえす。
(え……ええっ……!?)
一方、気持ち悪いと言われた夕妃は、呆然と桜庭の背中を見送るしかなかった。