イジワル社長は溺愛旦那様!?
社長の話をまとめるとこうだ。
桜庭の素行の悪さは親会社の役員の間でも問題になっていた。
だが桜庭は社長の甥っ子で、その素行の悪さを差し引けば、大変優秀な男なのだという。
だから、二十八歳という若さではあるが、早めに結婚させて落ち着かせようとしていたが、見合いをしてもわざと問題を起こすらしい。
初対面の女性を侮辱し、傷つけるような態度をとったり、中には手を出しておいて、向こうが本気になったところで、捨てるというような行為もあったという。
当然悪評は広まっていき、見合いすらできなくなった。
どうしたものかと一族が頭を抱えていると、いきなり桜庭が、結婚してもいいと言ってきた。
その相手が、夕妃ということだった。
「桜庭君、君のこと好きになったんじゃないかな。だったら悪い話では、ないと思うよ。彼、イケメンだし、将来は本社の取締役間違いないしね」
これは上司からお見合いをあっせんされたというようなことなのかもしれないが、さすがにハイ喜んで、とうなずけるはずがない。
実際、社長はしどろもどろだ。まだ二月になったばかりだというのに、大量の汗をハンカチで押さえている。
おそらくこれは本社から、直接社長に下された命令のようなものなのだ。
「考えさせてください……失礼します」
夕妃は呆然と社長室を出た。
(桜庭さんが私を好きになる? そんなはずない……)
好きになったなんて絶対嘘だ。