イジワル社長は溺愛旦那様!?
「なっ……」
桜庭のいうことになにひとつ間違っていることはなかった。
まるで見てきたかのように、夕妃と朝陽の間にあったことをペラペラと口にする桜庭に対して、怒りで目の前が真っ赤に染まった。
わなわなと全身が震えて、止まらない。
だが桜庭は、そんな夕妃を見て、相変わらず、組んだ足の先をぶらぶらと揺らしながら、ククッと喉を鳴らすように笑う。
「俺は結婚して社会的信用が得られればいい。そのかわり、あんたには金をやる。結婚してくれたら、弟の進学くらい面倒みるよ」
真っ白になった頭でなんとか桜庭の言葉を理解しようと努めてみたが、やっぱりほとんどが理解不能だった。
全ては彼の理屈で、そこには夕妃が入り込む余地などない。
「そんなことで、気持ち悪いって思ってる女と結婚するんですか……?」
「いや、ほかにも理由はあるよ」
「なに……?」
「屈服させたくなった」
「は?」
「クソ生意気で、夢見がちでバカなあんたを、俺に屈服させたくなった」
その次の瞬間、桜庭の顔はまるで仮面でもつけたかのように、無表情になった。
そしてすっと椅子から立ち上がり、夕妃の腕をつかみひきよせる。