イジワル社長は溺愛旦那様!?

(いよいよ……いよいよ!)


夕妃の心臓がありえない速さで跳ねまわっているのがわかる。

彼はどんなふうに自分を愛してくれるのだろう。

ドキドキして、本当に死にそうだ。

夕妃はごくっと息をのみ、その続きを待ったのだが――。


「でも、今晩はやめておこうね」


(えっ!?)


「朝陽くんもいるし」


湊はあっけらかんとした様子でそう言い放つと、夕妃の頬を両手で挟み、唇の上にキスをする。


「おやすみ、夕妃」
「お……おやすみ、なさい……」


若干の肩透かしを覚えながら、夕妃はうなずく。

湊は「うん」とうなずいて、それからゆっくりとベッドに横になる。

どうやら本当に『おやすみなさい』のようで――。


(そっ、そうよねっ、今日は入籍前日だしっ、朝陽くんもいるしっ、ちょっと恥ずかしいよね! それに明日からは晴れて夫婦なんだから、明日でも……明日でも……っ!)


すっかりその気だった夕妃は、顔を赤くしながらベッドに横たわって目を閉じた。



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