イジワル社長は溺愛旦那様!?

夕妃は素直に身をゆだねて、窓の外を眺める。


「今日は空気が澄んでるね」


目の前の視界に広がるどのビルも、ずっと下だ。
湊と結婚してから住み始めたこの五十八階建ての高層マンションは、夏の風物詩でもある花火大会も部屋から見ることができる眺めの良さがウリらしい。


「そうか?」


セルフレーム越しに目を細めて外を見た湊は、

「外の景色なんて気にしたことがなかったな」

と、もったいないことを口にした。


(見慣れてるからありがたみがないのかなぁ……私なんかすごくテンションあがっちゃうけど)


そんなことを思いながら、ふと思い出した。


「そういえば今日ね、湊さんがもうすぐ本社に戻るんじゃないかって、噂きいたんだけど。海外に行くんじゃないかって」
「ああ……まぁ、いずれはそうなるけど、“もうすぐ”ではないな」


湊は持っていたグラスをローテーブルの上に置いて、夕妃の顔を覗き込む。


「夕妃だって、朝陽くんが成人するまではって言ってただろ?」
「うん……」


< 36 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop