イジワル社長は溺愛旦那様!?
「てっきり湊に同行したんだと思ってたよ」
始はにこやかに笑って、夕妃の前のソファーを指さした。
「ここ、座ってもいい?」
「はい、もちろんです」
夕妃はうなずいて腰を下ろす。
「私も、山邑様は社長と一緒に行かれたものだと……」
「まぁ、あれだけの人数がいたら俺みたいなのもいるってことで」
(要するに山邑様はイレギュラーで、あえて行かないほうを選んだってことかな?)
夕妃は、通りがかった給仕にコーヒーを注文する始をテーブル越しに眺めながら、そう判断することにした。
「っていうか、山邑様って固いよね。俺はゆうちゃんって呼ぶから、ハジメちゃんって呼んでほしいなぁ~」
「それはちょっと……さすがに」
夕妃は笑いながら首を振った。
ゆうちゃんと呼ばれるのも小学生以来だが、全体的にふわふわした軽いノリの始に言われると、つい流されそうになる。
こうやって人との間合いを詰めてくるのが、山邑始という人物なのかもしれない。