イジワル社長は溺愛旦那様!?

「じゃあせめて様はやめてくれる?」
「わかりました」


夕妃はうなずいて、それから改めて問いかけた。


「山邑さんはこのあと東京に戻るんですか?」
「いや、俺も夜には京都に行くよ。御大に集まれって言われたら集まらないわけにはいかないし。義理人情ってやつだよ」


御大というのは、今回の関西入りを決めた取引先の会長のことで、会長の出身地は京都なのである。


「あの……京都でなにがあるんでしょうか。私、同行しなくていいって言われちゃって」


すると始は、「ははーん」と、得心したというふうにうなずいた。


「たぶんお座敷遊びとか連れていかれるやつだ」
「お座敷遊び?」


夕妃が首をかしげると、始は苦笑して長い脚を組みなおす。


「簡単に言ってしまえば、京都の料亭でね、舞妓さんとか芸妓とか呼んでさ」
「はぁ……歌舞伎役者か政治家みたいですね」



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