恋愛白書
「待って!ちがうの!」


丈のところまで走って、服の裾をつかむ。


「気にしなくていいよ。俺ら別れたんだから」

「そうだけど!」


納得ができなかった。



「でもいちゃつくのはえーな」


目が笑ってない。
感情がない目をして笑ってる。


「違うの!」

「違わねぇだろ!」


丈の出した大声にあたしはびくっとなる。


「おまえ、モリーとか虎ともイチャイチャしてんじゃん」

「は?」

「だってそうじゃん」


わけのわからない言い草に
イライラが募る。

誰にでもいい顔をしてるくせに。


なんでこんなふうにあたしが言われるの。

すきだけど、どうしてもダメで。
自分から手を離した。

でも、好きなんだよ?



< 333 / 447 >

この作品をシェア

pagetop