チューリップ


「マジで!?」

「うんっ!!あたし見てたんだもん!すごかったよ…。」


教室に戻ろうと歩いていると、なんとなく廊下がやけに騒がしい気がした。


なんかすげぇ試合でもあったのか?


聞きたくなくても聞こえてくる生徒たちの話に耳をすませた。



「あんなこと起きるんだな…。」

「止めようと思ったんだけど…怖くて入れなくて…。」




「喧嘩になって階段から落ちるなんてほんと災難だよな…。」



は?喧嘩?

しかも階段から落ちるとか大丈夫なのか?


「しかも先生だろ?処分も下るだろうしな…ほんとついてねぇ……」



教師!?


話の途中で奴らは教室に入っていってしまった。




いやな予感が頭をよぎる…




あのときの


梨華がさらわれたときの


絶望感が蘇る。




梨華?




お前がいなくなるなんて


ありえねぇよな?
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