チューリップ
リュウは眉間にしわを寄せてマンションをじっと見ている。




(心配してくれてるのかな…。)




そう思うと顔がにやけてしまう。





「大丈夫だよ!一応、セキュリティはついてるし、最上階だし。っていっても6階だけど…。」



「よし、じゃあ6階行くか。」





「え!?」




大きな声を上げた私をリュウは不思議そうに見ている。





(6階に行くって、私の部屋に上がるつもりなのかな…。)




「何だよ。



お前が部屋に入るまで送んないと危険だろ?」





(なんだ。びっくりした。)




リュウが真剣な顔でそう言うから、ちょっと焦っていた自分が馬鹿らしくなった。




「そっか!ありがとう!」





リュウはまだ少し疑問に思っているみたいだけど、私がお礼を言うと少し笑った。




「んじゃ、さっさと行くぞ。」


リュウは早速入り口の近くにあるエレベーターに向かって歩き出した。




(あっ!)






「待って!若い人がエレベーターを使うんじゃない!



階段階段♪」





私はいつも絶対に階段を使う。6階だし、エレベーターを使った方が早いけど、エレベーターを使わないことに決めている。
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