こいつ、俺の嫁。
さっきから何がなんだか全く分からない。
とりあえず頭を整理しようとすると、テツがこっちにやって来る足音が聞こえてきた。
テツを見ると右手で拳を作って力強く握っていた。
もしかして本当に殴ろうとしてるんじゃ…!?
ここで暴力事件を起こしたら、テツの推薦が取り消しになっちゃう!!
「テツやめて……!」
「……っ」
三輪田くんの前に立って両腕を広げる。
テツはあたしの前で立ち止まった。
「…ハッ、俺よりそいつを庇うのかよ」
「え、なに?テツ今なんて……」
テツが一瞬だけ笑ったのは分かったけど、小声でテツが何を言ったのか分からなかった。
テツは何も言わずにあたしに背中を向けて歩き出した。
少し歩いて立ち止まったかと思えばこっちを振り返った。
「そいつがいいなら乗り換えてどうぞって言ったんだよ。
そうなれば気兼ねなく大学受けられるしな」
「ちょ、ちょっと待ってよ…それって」
別れるってこと?
あたしとテツが前みたいにただの幼なじみに戻るってこと?
今まで恋人として積み上げてきた思い出が全てなくなるってこと?