こいつ、俺の嫁。
……やだ。
そんなのやだよ……!
また歩き出したテツの背中を追いかける。
「待って、待ってよテツ。
あたしはただテツのことを思って……ねぇ、テツ……待ってって……っ」
テツの背中だけを見て追いかけていたら足元が絡まり転んだ。
いつもなら「あーあ何やってんだ、ドジっ子澪ちゃん」とか言って手を差し伸べてくれるのに。
こっちを向きもせずにテツは先を歩いていく。
嫌だよ。こんな終わり方ってないよ……
顔や手にあたる土がやけに冷たくてあたしの体を凍らせていく。
テツ…どうして言い訳すらさせてくれないの?
言い訳いって喧嘩になる方がよっぽどましだ。
「……テツ……テツ…っ」
溢れだした涙が乾いた土を濡らした。
そして風が今までの思い出を消し去るようにあたしの髪を揺らした。