溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~

 毎日の椎茸のお世話は、正直言って気が重い。
 自分でやってくれたらいいのにと思いつつ、多忙ゆえ忘れてしまうのが分からないでもない。簡単なことだからこそ、予定の中から抜け落ちてしまうのだろう。



「――ご迷惑をおかけしてすみません」

 書斎にいる私を気にすることなく、社長が自席で誰かと話し出した。



「こちらはいずれ落ち着くでしょうから問題はありません。それよりも、雨賀さんにご迷惑がかかっていないかと。撮影現場にも記者が押しかけていると報道で見たもので。

 ……ええ、本当にそうですね。参ったものです、こういった記事は」


 雨賀碧の事務所に連絡をしているのだろうか。
 それとも、撮影現場と言っていたから、フラッグ出版の担当者と話しているのか。……どっちでもいいと思うのに、嫌っても構わないと言われた時の社長の表情がちらついている。



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