溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~


 翌週には、続報が掲載された誌面が街角に並んだ。
 葛城社長と雨賀碧が親密そうに並んでいる写真が、決定的なものに見える。


 以前、取材があった日の夜、食事に誘ったのは葛城社長のほうだったと思い出した。
 桃園さんも同席したのかはわからない。もしかしたら、カモフラージュのために桃園さんを誘っていたのだとしたら決していい気はしない。
 ひと言も相談なく、私だけではなく彼まで利用されているのは不本意だ。



 葛城社長は、コメントを何も出さず否定も肯定もしないで、社屋から出るたびに記者に囲まれている。
 雨賀碧も追われている様子が、主婦が好みそうな情報番組に取り上げられていた。





 20時。
 広報部内に残っているのは私だけになってしまった。次の取材の原稿や商品の見せかたを考えたり、外出が多い日は残業だって必要な時もある。


 椎茸の世話をしていなかったから、帰りに社長室に立ち寄ることにした。
 スケジューラーを見たら、非公開の予定が入っていたから社長はいないだろうけど、任された仕事はやらなくてはいけない。


 持たされたセキュリティカードを手に、開いたエレベーターのドアを出た。


< 103 / 251 >

この作品をシェア

pagetop