溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~


 待ち合わせに指定された、東京駅丸の内中央改札。高層ビルが立ち並び、旅行客の姿も多く見受けられる。平日じゃなくてもスーツ姿が多いのは、ビジネス街ならではの光景だ。


「……お疲れさまです」

 葛城社長は駅の改札出口まで私を迎えに来ていた。
 初めは断ったはずだったんだけどな……気づけばここまで押し出されてきた感じが未だに残っている。


「こんにちは。今日は仕事じゃないから、気を遣わないで」

 会社では時折見せる笑顔を、こんなに早く見ることになるとは思わなかった。
 それに、いつもコンタクトをしている社長が、今日は眼鏡をしている。初めて見る姿が少しだけ胸を衝いたけれど、バッグを持った手に力を込めて落ち着きを取り戻した。



 近くのビルに車を入れてあるからと言われ、駅を出て後をついて歩く。


「どうして今日誘ってくださったんですか?」

「桃園社長から聞きませんでしたか?ご褒美みたいなものです。それと、罪滅ぼしかな」

「罪滅ぼし?」


 それは、私への告白が雨賀碧との関係を隠すためのものだったから?
 だとしたら、食事をご馳走されるくらいで帳消しにされたくはない。


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