溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
「貴女に関係ないでしょう?」
「あるのよ。早くくっついてくれないと困るの」
「悪いけど、こう見えて俺も暇じゃないんだよ」
「私とキスする時間はあったのに?」
「だから、あれは貴女が強引にしただけでしょう?何の気持ちもこもっていないキスをして満足ですか?」
どうも穏やかでない。
言い合いをしている2人がつき合っていないのはわかった。社長が言っていたことは本当だったようだ。うっかり見てしまったキスも、どうやら雨賀碧が不意に奪ったものらしい。痴話喧嘩なのか、他の何かがあるのか……社長が彼女をあまり構わないから、ふて腐れてしまっただけ?
「このままだと、もっと面倒なことになるわよ」
「わざわざそんなことを言うために、残ったんですか?」
「そうよ。私、誰の味方もするつもりはないから。亜緒くんが困ったって別に構わない。
……私、桃園と婚約しているの。白埜さんが着けている指輪は、全部私が要らないって突き返した物なんだから。最近なんだか変わった気がすると思ったら、こんなところにチョロチョロしてる鼠がいるなんて思いもしなかったわ」
目の前が真っ白になる。
俯いた視界にある手の上で、プラチナリングだけが輝いて見えた。