溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
『お忙しいのは分かっているんですけど、やっぱりこういう時こそ会いたいです。お時間取れませんか?5分でも10分でもいいんです』
桃園さんに送ったメッセージに既読がついて、2日が経った。今までこんなことはなかったのに、余程の多忙なのだろうと無理やり納得してみる。
彼が逃げ始めているのではと薄々感じてしまう、経験からくる大人の勘が邪魔をするけれど。
定刻でやってきた電車に乗って、ふと中吊り広告に視線を投げた。
どうでもいいことに関心を集める出版社も大変だなぁ……と大小様々なフォントで飾られたそれに、視線が止まった。
【ミドリーヌ熱愛発覚!お相手は超セレブ社長か】
少し前までの私なら、芸能人のゴシップの類には全く無関心だったのに……。ドキドキと脈が速くなって、息苦しくなる。
まだ彼から真実を聞いていないし、私への想いも確かめられていない。
だからこそ、中吊りの最後の1文字に確率を見出して、そうじゃないかもしれないという方向を信じようとするのに、日に日に空いていく彼との距離感がやたらリアリティを出してくる。