溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
乃利子や先輩女子を含めた周りの反応は、五分五分だ。
本当に別れていたのかと問われたら、頷くしかない。ここで否定したら、社長が嘘つきになってしまうし、どうしてそこまでしたのかと、今度は私との関係を怪しむ声が上がるだろう。
広報部からは、すっかり鳥さんの姿が消えた。私のデスクの上を宿り木にしている1羽を残し、他がどこにいるのか分からない。
桃園さんとの関係がなくなるのとほぼ時を同じくして、景色が変わったのはただの偶然だと思うのに、PCの向こうから見つめてくる葛城社長からもらった私の鳥さんは、何か言いたげだ。
ひと通り業務を終え、スケジュールを確認すると社長の予定には会食と記されている。出かけていると知って、任され続けている椎茸の世話をするために上階へ向かうことにした。
ここで見聞きした雨賀碧との関係は、一体どうなのか。
もし葛城社長が雨賀碧とつき合っていたなら、彼も失恋組ということになるのかな……。