溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
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桃園さんが関連会社の買収に失敗したと明るみになって、今日は臨時役員会が開かれていた。
無事に騒ぎが収束したとはいっても、今後の体制を見直すこともあるのだろうし、あちこちで取り上げられるのは桃園さんだけじゃない。だから、今日もきっと会えないだろうと思うのに、背中を押す気持ちが私を上階へ向かわせる。
「こんにちは」
到着したエレベーターがドアを開けると、どういうわけか雨賀さんがいて、私の挨拶に返すことなく、入れ違いで乗り込んで去っていってしまった。
元から友好的ではなかったから、言いたいことがあるのは解ってる。それは、私だって同じ。確かに桃園さんと特別な関係にはなったけど、雨賀さんとの関係を知っていたら間違いなくお断りしていたのに。
……そうじゃなくても、あんな人なら断ればよかったのだけど。
つまり、今は誰を責めても無意味だって解ってる。桃園さんが蒔いた種があちこちで望まない芽を出してしまっただけで、雨賀さんだって私と似たような立場だと思うから。
だけど、どうして雨賀さんは泣いていたんだろう。