溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
「お忙しいところすみません」
「ちょうど会議の合間だから大丈夫ですよ」
社長室を訪れると、彼は至って変わらぬ様子で椅子から腰を上げ、私の前に立った。
「いま、雨賀さんとすれ違いました」
「……それが、何か?」
「いえ、何でもありません」
「桃園さんとお別れしたと、ご報告を受けたんです」
「えっ?!」
雨賀さんと桃園さんが……別れた?だって、2人は婚約していたはずなのに。
「雨賀さんが振ったそうです。本当か分かりませんが、彼女のような人は自分の失敗やプラスにならないことは口にしないタイプでしょうから。それで、今度は私とおつき合いしたいそうです」
「……お返事、されたんですか?」
「もちろん」
爽やかに即答されたら、返事が気になる。
桃園さんと私が別れて、雨賀さんも別れて……社長が雨賀さんを好いていない、とは聞いたことがなかった。社長と雨賀さんだって、何もなかったわけじゃない。彼女から迫られたとしても、キスをしたわけだし。ほんの少しも彼女に気持ちが向かなかったとも限らない。
今さら気づいた片想いが彼を知りたがるから、この想いに蓋をするべきか悩む。
溢れ出てしまったら、後に引けないのだ。