溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
「少し言いすぎたかもしれませんが、さすがに私も限界だったもので」
肩を下げ、ひとつ大きく息をつく背中と、室内でほんのり香る彼の匂い。言葉を交わさなくても満ち足りる、初恋のような心地よい緊張で支配されていく。
「……」
「金や地位で人を判断して、大して好きでもないのに言い寄る女とは2度と会わない、と申し上げたまでです。白埜さんがそんなに気にするとは、貴女も優しすぎますね」
自分が言われたわけじゃないのに、グサっと刺さる言葉の威力。数分前を思い出した様子の瞳は、見たことのない鋭利な氷のようだ。
「それから、もう1つお伝えしたことがあります」
黙って聞き入る私に、言葉が続けられる。
静寂に聴こえるのは、自分の鼓動だけ。こうして会えたことが嬉しくて、空気を読まずに高鳴るばかりだ。