溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
とはいえ、片想いが報われそうな気配に浮かれてしまう。
帰宅してようやく、解放できる気持ちに足をばたつかせながらベッドに横たわった。
「うぅぅ……」
胸の奥をぎゅーっと締め付けられて、痺れるように苦しい。だけど、嬉しいなんて恋は複雑だ。
特に空腹を感じず、大して食べなくても済んでしまった。
食事をしていてもテレビを観ていても、社長のことばかり考えてしまう。今週末デートに誘われたという事実が、随分と私を前向きにしてくれていて、勝手に頬が緩んで笑顔が引きだされる。
もしかしたら、きっと……。
想いが報われる可能性だけで、こんなにも幸せな気持ちになれるものだったと、片想いの醍醐味を噛みしめた。
21時を半分ほど過ぎたころ、ベッドに放っていた携帯が鳴った。
表示されているのは社長の名前と番号で、1つ大きく深呼吸をしてからいつもの私を呼び戻す。
浮かれているのを隠したくなるのは、彼の手中に収まってしまうのが少し悔しい気がするから。
嬉しいくせに、素直になれなくなる。