溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~


「はい」

「白埜です。失礼いたしました。びっくりして、思わず操作を間違えてしまって」

「ああ、なんだ。そうだったの?」

 ほっとしたような笑い声が耳を焦がす。



「よかった、嫌われたのかと思った」

「まさか、嫌うだなんて」

 ありえません、と言いかけて飲む。気をつけないと、ぽろっと本音が出そうだ。



「今週末だけど、夏祭りに行こうかと思ってて。縁日、好き?」

「はい……好きです」


 言いながら照れてしまった。
 まるで社長が好きと告げた感覚がする。

 もし、言える機会があったなら、こんなふうにドキドキしながら告げるのだろう。



「そう、よかった。俺も好きだよ」


 穏やかな微笑みが目に浮かぶ彼の声色に、心ごとわしづかみにされてしまった。

 社長が簡単に口にすると、生きた心地がしなくなるほどドキドキして、あっという間に顔が火照ると知った。



「楽しみにしてるね、デート」


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