溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
バージンロードの向こうで


 誰にも相談できないまま、あっという間に週末はやってきた。
 15時過ぎに迎えに行くから、部屋で待っていてと言われて、携帯を手に今か今かと連絡を待つ。


 何度も鏡を見て、バッグの中を確認して忘れ物をチェックする。
 淡いピンクのシフォンスカートは通勤服には選ばないのに、女性らしさを意識し過ぎていないかと気になってしまう。
 だけど、いつもと違うと気づかれたくないような、気づいてほしいような……。



「可愛いって、思ってくれるかな」

 ご褒美に買った靴を玄関に出していると、着信に合わせて携帯が手のひらで震えた。



 マンションの入口に近づくと、自動ドア越しに彼の愛車が見えた。
 先に降りて待っている彼を見つけて、一気に鼓動が速くなる。



< 205 / 251 >

この作品をシェア

pagetop