溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
少し座ってゆっくりしようと言われて、横道を入ったところにある公園に立ち寄り、ベンチに座った。
どこにでもある至って普通の町の公園に、昔ながらのアナログ時計が時を刻み、風が吹くとブランコがわずかに揺れている。遠くから縁日のにぎわいが聞こえ、屋台で遊んでいた子供たちは、日頃ここで楽しく遊んでいるんだろうと思った。
「結構賑わってたね」
「すごく懐かしかったです。綿あめも子供の時はあんなに大きく見えたのに、意外と小さくて」
「なんでも特別に見えたんだよなぁ、あの頃って。毎日が発見の連続だったと思うよ」
懐かしさに浸っているような遠い目とその横顔を見つめていると、ドキドキしつつも和んでしまう感覚を知った。
彼といると、いつも何が起きるか分からなくてハラハラするのに、一緒にいればきっと大丈夫って思える。
ブルーメゾンを興して、何があっても守り続ける彼に絶大なる信頼を寄せているから。
それに、失恋したあの夜、やわらかく抱きしめてくれた感触が忘れられないから。