溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
「嘘だと思うでしょ?でも、そうなんだ。あの人は俺を妬んで嫌ってた。
いつからか分からないけど、もしかしたら最初からそうかもしれない。桃園社長が保有してる企業や財産は、大半が親から継いだ代々のもので、自分で築き上げたものは少ないはずだし、それが上手くいってるかどうかといえば、そうでもない。
……そこに、学生だった俺が現れて、着々と起業して。ブルーメゾンも決して順風満帆ではなかったし、それなりに苦労もしたけど、あの人にとってはそれすらも羨ましかったんだろうね。自分の力で外と戦って、確実に勝ちたかったんだと思うよ」
「敵って……取引はあっても、業界が違うじゃないですか」
「会社じゃなくて、俺自身に敵意を持っていたんだと思う。だから、なんでもいいから奪い取って、どん底に叩き落としたかったんじゃない?」
彼は、まるで毒針を持った敵と立ち向かった人とは思えないほど飄々と話す。