溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~


 カジュアルイタリアンで空腹を満たす間、久しぶりにたくさん笑って話して、彼をまた少し知った。

 だけど、まだこの想いを告げていない。
 ちゃんと好きだと伝えたいのに、照れが先行してしまう。

 でも、きっと今夜を逃したら言えなくなる。1歩踏み出せたなら、止まらないほうがいいはず。



 車はどこに向かっているのか、聞きたくても勇気が出ない。
 もっと一緒にいたいって言ったら、驚かれてしまうかもしれないけど、彼の時間に少しでもいいから私を残したい。

 今日のうちに、想いを伝えたくて――。



「お願いがあるんですけど……もう少しだけ、お話できませんか?」


 勇気を出して告げた願いに、すぐ微笑みを返されて、また1つ胸が鳴る。


「そのつもりでいたよ。今夜は帰したくないなぁって」


 涙をこらえていた夜も彼は優しくワガママを聞き入れてくれたけど、今夜はそうじゃない。
 帰すつもりがなかったなんて言われたら、身体の芯が沸騰しそうで熱くなる。



 彼の横顔に、初めて夜の色を見た。


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